現代を学ぶ⑫ 若者の早期離職の対策として 今変わるべき、アップデートするべきは上司。

現代を学ぶ

こんにちは!AKIRAです。
今回は職場での上司の役割について整理してみました。
皆さんの職場には目標・憧れとして見られている上司はいますか?
もし『そんな上司一人も居ない』と言う人がいたら要注意です。
その職場は貴方に合ってますか?

大卒新卒者の3割は3年以内に離職する、という一般論


「早期離職」とは、大卒者が新卒で入社し3年以内に退職することと定義しています。
早期離職率は厚労省の統計によれば、直近の数字で2016年卒の32.0%となっています。
最も低かったのは1992年卒の23.7%で、ちょうどバブル崩壊のころ。
転職しようとしても転職先がなく、勤務している会社に留まるほうが賢明と判断する方が多い状況でした。
昨今、 早期離職率は一般的に30% と言われています。
早期離職する若者に対して「最近の若者の傾向」「根性がない」「学校教育のせい」などという人もいますが、マクロ視点でいえば、大きな変動要因は「景気」と厚生労働省も過去の「労働経済白書」の中で述べています。

ある日突然辞めるわけではない。必ずある「モヤモヤ期」

若手社員の離職理由については、個別のケースごとに、本当に多岐にわたります。実例をいくつか紹介します。
新入社員が退職に至るまでのプロセスは一般的に
就職活動 → 内定 → 入社・研修 → 配属・実務 → モヤモヤ期 → 退職準備 という流れです。
その間のどこかに、 心の中で葛藤する「モヤモヤ期」と、それに入る「きっかけ」があり、さらにどこかのタイミングで「決め手」があって、退職を決意 します。
先述の事例のように「きっかけ」は、転職エージェントのアドバイスであったり、先輩社員や上司が言ったちょっとした一言であったり、個人によって異なります。
離職防止の対策を考える上で大切なのは、 モヤモヤ期への「きっかけ」と、退職決意の「決め手」がそれぞれ何かを把握すること です。
さらに、きっかけや決め手以外にも、会社に対する明確な不満・違和感は離職の意思を加速します。
「給与が安い」「残業時間が長い」などはよく聞く例ですが、「会社の理念に違和感がある」「仕事を覚えて面白さも感じたが、限界が見えた」「罵詈雑言のハラスメント」「商材に魅力がない」など、会社で仕事をする上での不満を把握することは同じく重要です。
そうした情報をある程度把握した上で、「きっかけ」に対してどう手を打つか?ここでは大きく2点、対策すべきポイントを挙げます。
一つは、きっかけが起きにくくなるような 「マッチング」 をすること。
これは採用方法、上司との関係、職務内容、職場環境などです。
もう一つは、きっかけに 「いち早く気づき対処する」 こと。先輩や上司が早い段階で気づいて会社全体、チームとして手を打つことが必要になります。

そもそも上司であるあなたは、若手社員から目標・憧れとして見られているか?


早期離職対策としては「採用の改善」「育成力の向上」「組織の仕組みづくり」と、大きく3つの戦略が必要です。
さらに、それぞれの戦略に3つずつ、合わせて9つの戦術を示しました。
例えば新入社員の育成にあたるメンターの育成。
このメンターは、新入社員にとって人生のモデルになるような、魅力あふれる方であることが求められます。
新入社員から(こんな風になりたくないな…)と思われてしまっては本末転倒です。
そのためには、上司や管理職などの「育成力」を向上させる必要があります。
では、数ある対策のどこから着手するのが良いのでしょうか?これについては、早期離職の「三大要因」から考えてみましょう。

早期離職の「三大要因」:
「存在承認」会社・職場で自分の存在が認められているか
「貢献実感」社会・顧客・職場などで貢献できていると本人が感じているか
「成長予感」今の仕事を続けることが将来なりたい自分になれる予感があるか

「存在承認」 は、「あなたはこの会社に居ていいんです」という意味。
ちゃんと褒められる、フィードバックがある、無視されない、などです。
特に現在のようなテレワーク下では「存在承認」は大きく欠落する可能性があります。
しっかり意識して対策する必要があります。非常に大切です。

「職場に出社するのが当たり前」の時代であれば、新入社員は時間をかければ、いつの間にか職場に馴染んでいっていました。
テレワーク下では、「日が経てばそのうち職場に馴染むだろう」という感覚は捨てるべきです。

実際の例として、入社間もなくテレワークを強いられた新入社員に先輩が「これやっておいて」と課題を出したものの、その後先輩からコンタクトがないケースがありました。
あるいは、先輩社員は「チャットにどんどん書きこんで」と言うものの、その先輩社員自身はなかなかチャットに書き込まないケースも。そんな状態では、新入社員の「存在承認」は高まりにくいと言わざるを得ません。

次に「貢献実感」 。貢献する先としては社会、顧客、職場など、これは本人の感じ方によって異なります。
どこに対して貢献したいのか。
ただ、会社が利益をあげて納税していることだけが社会貢献ではなく、自分の仕事が社会のここに対して役に立っているんだ、と実感できることです。

優秀と目された人材の早期離職が、近年増えてきている

そして 「成長予感」 は、今の仕事を続けることによって、なりたい自分になれるかという自身への問いかけです。
学生にも人気の高い大手企業の採用担当者からの実話によると、「10%程度の早期離職率は変わらないものの、最近は離職者の質に変化が現れている」そうです。
以前は、配属先での仕事が合わない、馴染まないといった「ローパフォーマー」のケースが多かったものが、ここ5年ほど傾向が変わっていると。
それは、採用時に将来の幹部候補として見込まれ 「この人は優秀だ」と目されていた人から先に早期離職してしまう というもの。もちろん会社としては、強い危機感を強く持っているといいます。
そのような優秀な退職者の多くは、外資系やメガベンチャーのように 「若い年代から力を発揮でき成長を実感できる企業」に転職 しています。
例えば年功序列が強く残るような企業の中では、 自分の成長のスピード感に合わず「成長予感」が不足しているため、転職して自分のフィールドを移してしまうケースが増えてきています。

給与や福利厚生ばかりに注力しても、ホワイト企業にはなれない

「存在承認」「貢献実感」「成長予感」。こうした三大要因に対して「自社の状況がどうなのか」を問うアプローチとして紹介したいのが「ハーズバーグの二要因理論」を用いた企業の分類です。
二要因理論とは職場の満足度を「動機付け要因」と「衛生要因」の2つに分けて考える理論です。
「動機付け要因」
達成感、承認、仕事そのもの、責任、成長など
「衛生要因」
会社の方針と管理、管理監督のあり方、管理職との人間関係、労働条件、給与など
「動機付け要因」は、あればあるほど満足度につながりますが、 仮になくても大きな不満にはなりにくいもの です。
やりがいや達成感などが該当します。
「衛生要因」は、 なければないほど不満が高まりますが、あってもそこまで満足にはつながらない傾向が強い ものです。
特に給料がこれにあたり「給料が低いこと」は仕事への不満や離職要因に大きく表れます。


自社を分析するにあたっては、縦軸に「動機付け要因」、横軸に「衛生要因」を置き、全体を9分割します。
右上が理想的な状態の「ホワイト企業」、逆に左下が「ブラック企業」にあたります。
まず、9分割のうちのどこかに、自社を置いてみます。すると、自社に何が不足しているか?が大まかに見えてきます。
赤いエリアは「存在承認」が不足している企業です。
新入社員へのサポートには特に注力が必要です。青いゾーンは「成長予感」が不足しています。
この部分にある企業・組織では、やりがいや成長予感を持たせるようなアプローチがまず必要となります。
多くの企業ではまず「存在承認」「成長予感」への対策を重視し、その後黄色エリアの「貢献実感」を充実させていくプロセスが良いと思います。
様々な企業の取り組みを見ると、本来「動機づけ要因」の改善が必要なのに、なぜか給与や福利厚生、残業時間のような「衛生要因」の充実に力を注ぐようなちぐはぐなケースが見られます。
「衛生要因」への対策ばかり進めても、図の右側にいくだけで、上には行けません。
「成長予感」を上げなければ、社員の満足度が上がらない一つの例だと考えられます。

今変わるべき、アップデートするべきは上司。それが早期離職の対策に


これまでの上司の役割には、部下がサボらない、間違ったことをしないように監視・管理するような側面がありました。
しかしコロナ禍・テレワークによって働き方が変わった今、それによって 「人・上司の介在価値」は明確に変わりました。
今、必要なのは 上司のアップデート です。
「上司の介在価値が変わり、求められるスキルが変わった」 のです。
対面でのコミュニケーションにしても、机を挟んだリアルなものだけではなく、カメラを前にしたものまで求められているのが大きな特徴といえます。
社員のモチベーションを上げるために必要なものは、監視ではありません。
これからの上司の役割は、社員が気持ちの良く働くための環境整備、そして仕事に迷いが出ないように明確に指針を示すことです。

テレワークのコミュニケーションで必要なのは、総量ではなく「頻度・回数」

若手社員の存在承認のために有効な、チャットを通じたコミュニケーションを円滑化する3つのコツを紹介します。

コミュニケーションの円滑化の3つのコツ
チャット活用でコミュニケーションの頻度を上げる
絵文字・顔文字・スタンプなどで感情情報を頻繁に伝える
雑談ができる場の用意

例えば、社長や管理職、上司は最低1日1回、組織内に投稿することを習慣づけることは有効です。
誰かがやる、ではダメです。全員でやります。
チャットや雑談など、コミュニケーションは、 何時間やったという「総量」ではなく、1日や1週間に「何回」接したかの「頻度」が指標になります。
対話でいえば、60分の対話を1回よりも、15分の対話を4回のほうが関係性の構築には有効ですし、存在承認は高まります。
企業によっては、「絵文字・顔文字はマナー違反」という声が出ることもあります。
しかし、チャットを使う理由は、あくまでも『成果を出すため』です。
成果を出すために「感情情報」を伝える役割、機能が絵文字というだけです。
絵文字の使用について「マナーだから」と頭ごなしにNGとするのではなく『成果につながるかどうか』で議論することが大切です。「感情を伝える」という点においても、以前とは状況が変わっているわけですから。
特に若手社員や学生からの意見では、信じられない方もいるかもしれませんが、面識のない人とのメールでのやり取りで「ありがとうございます。」「よろしくお願いします。」のようなテキストだけのやり取りだけでは「怖い!」という印象を持たれるケースも出てきています。
このような現状を把握して、管理職・上司が積極的にコミュニケーションを図れるようになると、会社・組織は必ず活性化することでしょう。

最後に、まとめとして、早期離職対策をすすめる時のポイントを挙げます。
・コロナ禍であってもなくても、周囲を巻き込み全社で取り組む
・一度始めたら中途半端にせずやり切る
・一貫したストーリー/メッセージを発信

コロナ禍で働き方は大きく変わりました。
会社も根本から変わろう!と沢山の人が前向きに取り組んでいけばきっと会社は良くなると思います。

以上になります。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました